CSR&CSV REPORT 2023
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Kazuo Shirotori1967年長野県生まれ。1990年明治学院大学国際学部卒業後、1990年日本経済新聞社入社。高松支局、流通経済部、札幌支社編集部、消費産業部などを経て、2014年から調査部(現在の編集総合編集センター調査グループ)。小売、外食、卸、食品メーカー、流通政策を長く取材。日本経済新聞および日経MJのデスクも歴任した。2003年消費生活アドバイザー資格取得、2020年日本大学大学院総合社会情報研究科博士後期課程修了、博士(総合社会文化)。國學院大学および日本大学大学院の非常勤講師も務める。著書に『即!ビジネスで使える 新聞記者式伝わる文章術』(CCCメディアハウス)、『不況に強いビジネスは北海道の「小売」に学べ』(プレジデント社)のほか、共著として『改訂版 ようこそ小売業の世界へ』(商業界)、『2050年 超高齢社会のコミュニティ構想』(岩波書店)などがある。第三者からのご意見53株式会社日本経済新聞社編集総合編集センター調査グループ調査担当部長 CGC創業者の故・堀内寬二氏は「異体同心」とグループの在り方を表現した。資本(体)は違うが同じ目的(心)である組織を目指した。自分のもうけより、仲間の生き残りに粉骨砕身。その裏表のない言動とユーモアを忘れない人柄、篤い信仰心に裏打ちされた奉仕の精神に惹かれ、全国の多くの経営者がCGCに集った。これがグループ208社4,433店、合計年商5兆213億円(2023年7月1日現在)の礎を築いた。 堀内氏が生前厳しく加盟企業に説いていたのは、「メリットを創るために協業活動に積極的に参画するんだ」ということ。もう一つは「よく集まり、よく話し合う」という姿勢だった。その中で、新しい価値を創造していったのがCGCの真骨頂だ。グループのリーダーの一人、故・遠藤須美夫氏(元・東北シジシー社長)が開発した、一物三価のディスカウント業態「ビッグハウス」は、ラルズ(現・アークス)の成長を後押し。堀内淳弘CGCグループ代表が旗を振る「スカスカ撲滅運動」はメーカー各社を動かし、社会課題の是正に一役買っている。 CGCの出発は「ビッグ対策(大手チェーンへの対抗)」だった。その根底には、地域の食文化を守ることがあった。「豊かさ」とは選択肢のあることだ。「1時間で買えるバスケットの中身の違いこそが米ソの違いだ。米国民の願いは、スーパーマーケットを通して豊かさが実現される社会だ」――1962年5月、シカゴでの全米スーパーマーケット協会25周年式典で、ジョン・F・ケネディ米大統領はこんなメッセージを発した。 モノポリーのような経済では、多様な背景やニーズを持つ生活者の期待には応えられない。こうした視点に立ち、「中央からの攻勢に屈しないし、内なるたたかいは適者生存、小異を生かし大同につく」(東北シジシーの25周年記念式典での遠藤氏の発言)ことを続け、「豊かで」「楽しく」「健康的な」食を提供するというスーパーマーケットの役割をさらに発揮することに期待したい。白鳥和生 さん選択肢のある食生活へ一層の貢献を期待

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