和日配チーム
“カニカマプロジェクト”座談会

開発ストーリーDevelopment story

和日配チーム
“カニカマプロジェクト”座談会

02「インドのカニカマだって⁉」
から始まったプロジェクトを日本の食を支える希望に

2004年入社
和日配チーム(現・冷食チーム)
江間 健太

2015年入社
和日配チーム
武田 大二朗

2021年入社
和日配チーム
髙橋 優大

2019年入社
和日配チーム
小野 樹生

今回のカニカマプロジェクトの概要を
教えてください。

武田:
今回カニカマ商品開発ということで、メンバーそれぞれの役割を言っておきましょう。まず私が営業の主担当で、髙橋さんも営業ですね。髙橋さんは入社後、すぐくらいにこの商品開発に参加して、営業サポートを中心に取り組んでもらいました。受発注、在庫の管理など流通に関わる業務を担当。そして開発担当は江間さん。小野さんは開発当時バンコク事務所に常駐していて、生産するインドの工場とのやりとりなどを担当してもらいました。加盟企業をはじめ、多くの方の協力を得ながら商品化しましたが、基本的にはこの4名が中心になって取り組みました。
髙橋:
商品化の話が立ち上がったのは3年前ですが、商品として販売が始まったのが一昨年くらいのなので1年3か月経ちますかね。売り上げも非常に好調で、北海道から沖縄まで全国で販売しています。品質も良く量も多いので、加盟企業からも評価いただいています。
江間:
国内製造のカニカマだと120gくらいで200円台というのが主流ですが、今回開発したカニカマは150gで同等の価格で提供しているので、消費者にはお得感があって加盟企業には利益が出せる商品になっています。ただ実は当社には今回のカニカマ以外にもPBとしてすでに販売しているものがあるんですが、カニカマの原料となるスケソウダラの原料価格がここ数年で大幅に上がってしまい、5~10年前に比べると最大で3倍くらいになって。それが製品原価に反映せざるを得なくなり、何度か値上げしたことで、お手軽に購入してもらっていたカニカマの購買量が非常に下がってしまいました。
武田:
そこでお客様にもっと手に取ってもらえる商品はどうやったら作れるかという話になったときに、原料となる魚のすり身から見直して、新商品の開発にチャレンジしようということになりました。
小野:
実はカニカマは海外で「SURIMI」という名前でかなりの量が消費されているんですよね。世界一の生産国はリトアニアでヨーロッパを中心に流通されています。なので、国内製造ではなく海外の規模の大きいすり身メーカーと組んで海外で製品化したほうが価格的なメリットが出せるということになりました。今回はインドのメーカーさんと組みましたが、インド製造のカニカマ?という声もありました。でも実際販売してみたら非常に売れているんです。

商品化に至るまで苦労したところはどんなところですか?

江間:
今回の開発の目的は簡単に言えば「カニカマをもっと買ってもらう」ということではあるんですが、この目標達成には別のテーマもあったように思います。それはヘルシー&高タンパクという健康志向のトレンドが作り出したカニカマの市場を維持・拡大するということです。カニカマを買われるお客様って非常に健康志向なんですね。
それでカニカマの魅力や価値がメディアに取り上げられたりして、ヘルシーな魚のすり身市場が広がっていたのに、原料高騰のせいで売れなくなってしまうのはもったいないという思いがありました。一方で世界のSURIMI市場が拡大して、また相場が上がってしまっては、日本のカニカマが高級品になってしまいますし。
武田:
そうですね、このプロジェクトを成功させるためには様々な壁がありましたよね。まずはインドで製造するカニカマに対して、加盟企業をはじめ社内も最初は懐疑的でしたよね。製造国インドは日本で受け入れられるのか?とか。そのメーカーさんは当社と10年くらい取引があるところだし、世界でも5本の指に入るくらいのカニカマメーカーですから、私たちは信頼していましたがそれを納得いただくのは営業としても大変でした。
小野:
私も商品化はある程度決定した中で、貿易チームとしてバンコク事務所に異動したときにインドの現地工場に行きました。問題がないことはわかっていましたが、原材料が指定通りになっているか、スペックに相違がないか、安定供給できる製造スケジュールが確保できるか、価格交渉まで先方の担当者とかなり詰めたことを覚えています。
江間:
日本からの色、味、食感とかの指示も現地とやりとりする上では大変だったよね。
小野:
そうですね、日本人と外国人のニュアンスが全然違うので、日本の会議で出てきた要望をそのまま伝えてもいまいち伝わらなくて。
もうちょいジューシーに、もうちょい柔らかく、若干赤を強く…など、この「もうちょい」というのが伝わらないので、水分量や塩分値を数値化したり、画像を見せたりしながら数パターン作ってもらいながら進めました。1パターンで提案すると却下されたたびに修正に時間がかかってしまい、販売開始予定にも間に合わなくなるので時間との勝負でもありました。
武田:
かなり試行錯誤しながらどうにか商品が確定して、今度は販売に向けての受発注管理というところで、私と髙橋さんでどんどん営業をかけていくことになります。
髙橋:
武田さんと一緒にいろいろな加盟企業をまわって導入の提案をしてました。在庫管理では江間さんから「海外から何日にうちの倉庫にいくつ入庫される」という指示をもらった後に、全国にバランスよく割り振って、日々の出荷数を計算しながら欠品のないように加盟企業に提供し続けました。最初のうちは発注数も読めないし、安定しないので苦労しました。
江間:
最終的にはこだわり抜いた商品だけあって、自信もありましたが多く方に評価いただけるものになったと思います。年間の売上目標も高いので、まだまだチャレンジ中ですが、ハードルが高い分全社を挙げてご協力いただいています。
武田:
私たちが費やした熱量みたいなものは伝わっているなという実感はありますね。23年度の和日配部門のベストCGCはこのカニカマが選ばれました。全国のバイヤーさんの投票で決まるものなので、それだけ支持してもらっていると思っています。

今度のカニカマの展開と和日配の未来とは?

小野:
これからも売り上げを伸ばしていくという意味では、改良も必要だと思いますし、食の提案なども積極的に仕掛けていく必要がありますよね。お子さんからお年寄りまで食べやすいものだから可能性は広がると思います。そのまま食べてもいいし、焼いたらさらにおいしい。バーベキューにも使えるし、チーズをかけてカニリゾットとか。
武田:
そうですね、私たちCGCの商品開発って一度作って終わりじゃないところが特徴的だしおもしろいところだと思います。業務とかカテゴリーの枠を超えて、あらゆる工夫をしていくことが仕事なんだと思います。
江間:
和日配という部門ではありますが、もはや和食は日本だけのものじゃない世界食なので、日本の枠の中で考えていては立ち行かなくなるときが来ると思います。日本の食の未来を考えると課題は山ほどあります。和日配の代表的な納豆や豆腐だって大豆の生産はアメリカやカナダに頼っているわけで、和食のさらなるグローバル化が進めば、海外産の大豆は世界中で獲り合いになります。国内に目を向けても漬物に使う大根の国内生産も大根農家さんの減少が進めば今のままじゃ商品の維持ができない。私たちは、日本の食料自給率も踏まえて、世界と密につながりを持って食品を提供し続けなければならないと思います。
髙橋:
お店に並んでしまえば、ただのカニカマなのかもしれませんが、その裏側で様々な条件や制約をクリアして商品化していくっていうのは、世界をまたにかけたストーリーがあるって感じですよね。私ももっといろいろなことにチャレンジしていきたいと思います。
武田:
「インドのカニカマ⁉」みたいな反応から始まった開発ですが、今現在はある程度いい流れができていると思います。ただ、正直まだすべての店舗で扱ってもらっているわけでもないですし、理解の促進という観点では足りないところもあります。ここからは急激な売り上げアップというより、本当にちょっとずつ伸ばしていければなと思っています。今回せっかくインドとのパイプも築けているので、次の新しい商品に挑戦して、食の可能性を広げていければと思います。

チームだからできることがあるPROJECT STORY

02スーパーの顔となる商品
輸入果実チームの取り組み

カニカマって日本独自の食文化?実は世界中で食される定番フード。
お客さまが満足される質、量を維持しながら購入しやすい価格を実現
するために、世界に製造の活路を見出したプロジェクトメンバーたち。
安定供給を実現し、お客さまから評価いただくまでのストーリーを
ご紹介。